治療方法 | 下肢静脈瘤 東京 森末クリニック監修 下肢静脈瘤サイト(東京都日野市)
下肢静脈瘤の治療方法

下肢静脈瘤の治療方法

下肢静脈瘤の治療は、大伏在静脈や小伏在静脈の本幹の静脈弁が壊れている場合はそちらを優先して行われます。本幹の治療には血管内焼灼術血管内焼灼(下肢静脈瘤レーザー治療高周波カテーテル治療)、ストリッピング手術が行われます。本幹の治療が行われた上で、側枝の治療について瘤切除術硬化療法が付加されます。
大伏在静脈本幹や小伏在静脈本幹には静脈弁不全がなく、枝分かれ(側枝)のみに弁不全がある場合には、瘤切除術硬化療法で対処します。
また陰部静脈瘤にも瘤切除術硬化療法で対処します。
その他、網目状静脈瘤には硬化療法となりますが、クモの巣状静脈瘤において硬化療法の穿刺が困難なケースにおいては経皮的レーザーの適応としています。

下肢静脈瘤レーザー治療

下肢静脈瘤レーザー治療

下肢静脈瘤血管内焼灼術

下肢静脈瘤の治療は従来、ストリッピング手術硬化療法による治療が主体でしたが、今や下肢静脈瘤レーザー治療高周波カテーテル治療による血管内焼灼術が、下肢静脈瘤治療の中心となっています。現在は、AVF,SVS(米)、NICE(英)、ESVS(ヨーロッパ)のガイドラインにおいて、血管内焼灼術がfirst choiceとなり、高位結紮ストリッピング手術より優先して扱われるようになりました。日本でも保険収載されてから既に7年以上経過し、広く信任を得ています。

レーザー治療

平成23年に980nm波長のレーザーによる血管内焼灼術が厚労省に認可され、当院でもレーザーによる血管内焼灼術の保険診療を開始致しました。
平成26年5月1日に1470nmレーザーによる血管内焼灼術が保険収載され、同時に当院のレーザー治療も1470nmレーザーに切り替わりました。現在、保険で認められている血管内焼灼術のレーザー機器は、Biolitec社製(ドイツ)ELVeSレーザー1470(平成26年5月より)LSO MEDICAL SAS社(フランス)LSO1470レーザー(平成27年12月より)の2機種であり、当院では双方装備し、症例に応じた選択を行っています。

Biolitec社製(ドイツ)ELVeSレーザー

LSO MEDICAL SAS社(フランス)LSO1470レーザー

利点

1.創が少ないこと、

2.そして従来の手術(ストリッピング)と比較して、手術時間が短く、使う薬剤(鎮静剤)の量が少なく済みます。

3.また、治療する血管の部位に、ファイバーが血管の中から到達するので、より確実に治療が行えます。従来の手術では、血管周囲の状況によって、皮膚から治療部位に到達するのが、やや困難となる場合がありました。

4.伏在静脈本幹から枝分かれした静脈瘤についても、曲がり具合がファイバーが通る程度であれば、焼灼することが出来ます。

5.ワーファリンなどの血液をさらさらにする薬を使用していても、治療の有効性は変わらず、出血合併症に大きな変化をきたすことはありません。


大伏在静脈は根元から焼灼し、状況に応じて伏在静脈側枝の静脈瘤もレーザーで焼灼しております。

方法

1.治療する脚を消毒し、腕に点滴をします。

2.鎮静剤でお休みになっていただきます。

3.治療する血管に、シースと呼ばれるプラスチックの管を入れます。

4.シースよりレーザーファイバーを挿入します。

5.エコーで見ながら、焼灼開始位置にレーザーファイバーの先端を誘導します。

6.焼灼する血管周囲にTLA麻酔を行います。(TLA 低濃度膨潤麻酔:麻酔液は、希釈したキシロカインあるいはカルボカインに膨張痛を抑えるためにメイロンを加えたものです。)

7.レーザーを出力しつつ、レーザーファイバーを体外へ抜いてきます。

8.症例により瘤切除術を追加します。

9.鎮静剤を中和します。

10.弾性包帯を巻いて終了します。

合併症

1.深部静脈血栓症手術1000件に1件に生じるといわれる稀な合併症です。ただし当院では発症しておりません。

2.EHIT血管内焼灼を行った伏在静脈本幹の中枢側断端に生じた血栓をいいます。血栓の深部静脈内に伸展する程度が、深部静脈径の50%以下であればclass2,50%以上であればclass3、また深部静脈が血栓で閉塞していればclass4と分類されます。

3.神経障害小伏在静脈根部付近の脛骨神経、大伏在静脈の下腿末梢側の伏在神経など、静脈と神経が近く、治療に際して注意を要する部位があります。

高周波カテーテル治療

高周波カテーテル治療

高周波カテーテル治療

460kHz(15~40W)の高周波電流をカテーテル先端の金属コイルに流し(7cmと3cmの2種類あります。接触した静脈壁に、120℃の熱変性を加えることにより治療します。カテーテル先端に温度センサーがついており、出力調整されます。比較的屈曲の少ない大伏在静脈本幹(膝上~膝下1/2)が最適であり、7cmあるいは3㎝ごとに焼灼していきます。短時間で均一に焼灼することが容易な治療法です。

高周波カテーテル治療
stripping

ストリッピング

ストリッピング

ストリッピング

径が2㎝以上のおおきな静脈瘤の場合は、高エネルギーで焼灼するよりも抜き取った方が確実な場合があります。特に皮膚の直ぐ下に静脈瘤がある際には、高く設定した焼灼エネルギーが皮膚に影響する懸念がありストリッピングが選択される場合があります。
大伏在静脈根部の枝分かれを結紮切離した後に、ワイヤーを大伏在静脈本幹に通し、ワイヤーに静脈を括り付け、ワイヤーを引き抜くことで静脈を抜き取ります。

危険性あるいは合併症

太ももにあざができますが、自然に薄くなっていきます。

ストリッピング
stripping

高位結紮術

高位結紮術

伏在静脈本幹の蛇行が強いなどで、レーザーのファイバーや高周波カテーテルストリッピングワイヤーが通らない際に行います。大伏在静脈本幹(左)、小伏在静脈本幹(右)の逆流が下方に流れないように、それぞれの根元を結紮して、数センチ切除します。また大伏在静脈の根元においては、枝分かれの静脈も結紮して切り離すことで、逆流が周囲に広がらないようにします。

高位結紮術 高位結紮術
stripping

不全穿通枝焼灼術

不全穿通枝焼灼術

基本的には下肢静脈瘤は表在静脈の弁が壊れて生じる病気ですが、皮膚病変(色素沈着、脂肪皮膚硬化症、皮膚潰瘍)を伴う重症な下肢静脈瘤になると、穿通枝の弁機能が悪化する確率が高くなります。弁が壊れている穿通枝を不全穿通枝といいますが、最近は細いレーザーファイバーで焼灼することが可能となっています。不全穿通枝が重症と判断される目安はエコーで径3.5㎜以上、逆流時間500msec以上です。

硬化療法

硬化療法

硬化療法

下肢静脈瘤硬化療法とは、瘤の中に硬化剤(日本で下肢静脈瘤硬化剤として保険収載されているのはエトキシスクレロール(ポリドカスクレロール)のみ)を注入した上で、瘤を弾性ストッキングあるいは弾性包帯で圧迫して、血管の内側と内側を密着させる方法です。すると血管の内皮細胞が変性し、静脈瘤が徐々に細くなっていきます。硬化療法の硬化剤は液状とフォーム状の2タイプあり、静脈瘤の規模に応じて、下記のように使い分けます。

クモの巣状静脈瘤 0.1~1.0mm
0.3~0.5%液状,0.3%フォーム
網目状静脈瘤 2.0~3.0mm
0.5%液状,0.5%フォーム
非伏在静脈瘤 3.0~8.0mm
0.5~1.0%フォーム
伏在静脈瘤 7.0mm~
1.0%~3%フォーム

フォーム硬化療法

泡状にして効果を高めた硬化剤を用いる硬化療法です。フォーム硬化剤には血管収縮作用があり、より血管内皮に密着して作用することが出来ます。また最近はエコーでフォーム硬化剤の到達を把握しながら行う、エコーガイド下硬化療法(UGFS)が盛んとなっています。

硬化療法の出来ない方

血栓性素因を持つ方や(血栓が生まれつき出来やすい方やホルモン療法をしている方、経口避妊薬を服用している方などが含まれます。)、過去に深部静脈血栓症や肺塞栓症を患った方です。

硬化療法の副作用

① 瘤内血栓
② 色素沈着
硬化療法による静脈収縮が不十分であると、瘤内に血栓が形成され、しこりを触れ、血栓による色素沈着と圧痛を認めます。

硬化療法の守備範囲

硬化療法は、焼灼術やストリッピングの出来ない、蛇行の強い静脈瘤や神経に近接した静脈瘤にも施行可能で、炎症による癒着のために切除不能な静脈瘤にも、適用できる応用範囲の広い治療法です。クモの巣状や網目状の、規模が小さくて切除出来ない静脈瘤にも、よく行われています。

瘤切除術

瘤切除術

瘤切除術

最近の瘤切除は、stab avulsion法といって切除する血管と周囲の組織との結合を、TLA麻酔(低濃度膨潤麻酔)で緩くしてから切除する方法です。針穴程度の1~2mmの創で施行します。

瘤切除術
経皮的レーザー治療

経皮的レーザー治療

経皮的レーザー治療

硬化療法が施行不可能な、より細径のクモの巣状静脈瘤については、皮膚の外から照射するレーザーを使って治療します。
使用するレーザーの種類にはダイレーザーとヤグレーザーがありますが、両者を併用した連続照射によって相乗効果を得る機器もあります。日焼けをしているとレーザー照射の効きも変わってくるため、治療前後は日焼け止めを使用するとともに、皮膚の露出を防止する服装で保護することが必要です。

経皮的レーザー治療
経皮的レーザー治療
stripping

弾性ストッキング

弾性ストッキング

弾性ストッキングを着用すると、下肢の静脈は運動する筋肉とストッキングに挟まれるような形となるため、より確実に静脈は筋肉に圧迫されるようになり筋肉ポンプ作用が向上します。その改善効果は表在静脈にも及び、下肢静脈瘤による血液逆流を減少させ、下肢組織血流を改善させます。

下肢静脈の循環改善のためであれば、ハイソックスタイプでも、ある程度の役割を果たすことが出来ます。硬化療法後の圧迫が目的であれば、治療部位により、大腿までのストッキングタイプやパンティストッキングタイプが選択となります。
ハイソックスタイプにも、つま先なしとつま先ありの2種類があり、着用の仕方が異なります。
つま先ありは、踵部分の扱いにコツがありますので、下方の動画をご覧ください。つま先なしは写真のように、フットストリップが活用出来ます。

弾性ストッキングパンティストッキング

弾性ストッキング ハイソックスつま先あり

弾性ストッキング ハイソックスつま先なし

フットスリップを使用し弾性ストッキングを履く過程

弾性ストッキング履き方

そのほか

サイズ、圧迫圧は勿論ですが、綿の素材のものや二重履きタイプなど、状況で適した種類があります。当院には弾性ストッキングコンダクターの資格を持った看護師が常駐しており、相談可能です。

下肢静脈瘤治療までの流れ

下肢静脈瘤治療までの流れ

1.問診と視診・触診

症状と範囲そして経過を聞き取ります。
疼痛部位が静脈瘤の場所にあれば血栓性静脈炎を伴っている可能性があり、脚先であれば動脈閉塞によるものかも知れませんので、皮膚温と足部の動脈拍動が蝕知できるか確認します。
また浮腫を訴えていれば全身疾患の可能性もありますが、押して痕が残るか(圧痕性か非圧痕性か)診ておきます。
しびれ感を下肢の外側に訴えていれば腰椎検索を検討し、脚先であれば脈波測定を行います。
皮膚病変(色素沈着、湿疹、皮膚潰瘍)の有無を確認し、皮膚潰瘍があれば、その部位により静脈性か動脈性か、あるいは糖尿病の関与はあるか検索します。
薬手帳も活用し、今までどのような治療を受けてきたのか、また併存疾患のチェックを行います。

2.検査

下肢エコーを行い、静脈瘤の程度と範囲を確認し、弁不全の程度も把握します。疼痛部位があれば血栓がないか調べます。
深部静脈血栓症の疑いがあれば、血液検査でD-dimerをチェックします。深部静脈や骨盤内の問題が疑わしく、エコーで把握しにくい部位があればCT検査が行われます。

3.説明

通常の下肢静脈瘤であれば、下肢エコーを行っている時点で、手術適応か否か、術式はどうするか決まります。

4.手術

抗血栓薬、降圧剤は服用のままで結構です。糖尿病の場合は中断していただく薬がある場合もありますし、当日血糖を確認させていただく場合があります。
当日はゆったりとした服装でお越しいただき、帰りはご自身での運転は避けられた方が良いです。

5.状態チェック

手術翌日と1週間に創と脚の状態をチェック致します。

6.再診察

血管内焼灼術(下肢静脈瘤レーザー治療高周波カテーテル治療)の場合は、1~2か月後に診察します。